彼は高嶺のヤンキー様10(元ヤン)
凛君を乗せた車は、かなりのスピードで走っていた。
その車が速度を落としたのは、大きな建物の中に入る時だった。
それに私達は、見つからないように尾行して、後に続いて入った。
神楽坂君が原付を止める。
その側には、大きな看板が設置されていた。
「おい、ここって・・・!?」
「精肉工場・・・?」
お肉を加工する場所だった。
防音設備がしっかりしているのか、機械が動く音は外からはしない。
(なんで凛君を、精肉工場に連れて来たの・・・・・?)
自然と、嫌な予感がした。
「凛先輩!!」
ヘルメットを脱ぎ捨てると、原付から素早く下りる神楽坂君。
そして、1人で先へと進み始めた。
「待って、神楽坂君!1人で動くのは危ないです!」
「凛先輩のためなら、危険上等よ!!」
「しー!声が大きいです!敵に聞かれて、凛君の身に、危険が及んだらどうするのですか!?」
「あ!?そうだった!!」
私の言葉で、慌てて両手で口を抑える男の子。
「静かに、凛君を探しましょう?」
「お、おう!」
抜き足、差し足、忍び足。
広い敷地内を歩く私達。
「凛先輩、どこっすかー!?」
「しー!凛君よりも先に、凛君をここに連れてきた車を探しましょう。近くに凛君がいるはずです。」
「あ、なるほどな!頭いいなぁ~2号さんは!」
私の提案に無邪気に笑う神楽坂君。
その顔がひどく幼く見える。
彼が中学生ということは凛君から聞いていた。
(それも12歳なんて・・・・)
12歳で身長170cmって・・・・・発育がいいな・・・。
そんな気持ちで見上げていれば、神楽坂君の目つきが変わる。
「見つけた!!」
「え!?」
「あの車だ!凛先輩をさらった車だ!!」
指さしている方を見るが、私には何も見えない。
こういう時、背の高い人は優位だと思う。
「凛先輩!!」
「ま、待って、神楽坂君!」
走り出した彼に、必死でついて行く。
ほどなくして、駐車場らしき場所に到着をする。
そこには神楽坂君が言った通り、凛君を誘拐した車が停車していた。
「凛先輩!!」
「凛君!!」
(車内にいればいいんだけど―――――――!!)
私の願いもむなしく、車の中にはだれもいなかった。
「クソが!!」
ガツン!!
「きゃあ!?」
突然の大音量。
怒った神楽坂君が、車を蹴り飛ばした音だった。
蹴り上げた場所が少し凹んでいる。