腹黒御曹司の一途な求婚
オートロックのガラスの自動ドアをくぐった先のエントランスホールは、白を基調とした二層吹き抜け構造で開放感のある造りになっていた。
天井からは現代アートっぽい不思議な形をした彫刻も吊り下がっている。
壁面を反射して落ちてくる照明の光が曇りなく磨き上げられた御影石の床を照らしていて、モダンなホテルロビーのようだった。
計算され尽くした洒脱な空間。思わずおお、と感嘆の息が漏れる。
エレベーターホールはエントランスを右に抜けた先にあった。
十基もあるエレベーターは、低層階行きと高層階行きに分かれていて、どちらに乗ればいいのか分からない。困った私は項垂れている久高くんを仰ぎ見た。
「久高くん、おうち何階?」
するとだらんと垂れた首が僅かばかり持ち上がり、久高くんが目を細めて私を凝視した。
「…………ん……萌黄……?」
「う、うん。さっきからいるよ……?」
美濃さんじゃなくて、萌黄……。
唐突に、しかも初めて名前を呼ばれて肩がびくんと震えた。
どうしていきなり……いや、名前で呼ぶなんて些細なことで意味なんてなかったりするのかも?なにせ恋愛経験値がゼロなので、その辺の感覚がよく分からない。
久高くんは内心焦りまくる私の様子にも気付かず気怠そうに周囲を見回して、それからコテンと首を傾げた。
「俺んち……?」
「う、うん。久高くん歩けるか分からなかったからタクシーで来て……」
「そっか、ありがと」
合点がいったらしい久高くんはへにゃっと顔を綻ばせて頷いた。
酔いどれ状態になる前の理知的な雰囲気とは全く違う、無防備な微笑みの攻撃力は凄まじかった。
(か、かわいい……)
すっかり悩殺されて、私はいっぱいになった胸を思わず押さえる。
天井からは現代アートっぽい不思議な形をした彫刻も吊り下がっている。
壁面を反射して落ちてくる照明の光が曇りなく磨き上げられた御影石の床を照らしていて、モダンなホテルロビーのようだった。
計算され尽くした洒脱な空間。思わずおお、と感嘆の息が漏れる。
エレベーターホールはエントランスを右に抜けた先にあった。
十基もあるエレベーターは、低層階行きと高層階行きに分かれていて、どちらに乗ればいいのか分からない。困った私は項垂れている久高くんを仰ぎ見た。
「久高くん、おうち何階?」
するとだらんと垂れた首が僅かばかり持ち上がり、久高くんが目を細めて私を凝視した。
「…………ん……萌黄……?」
「う、うん。さっきからいるよ……?」
美濃さんじゃなくて、萌黄……。
唐突に、しかも初めて名前を呼ばれて肩がびくんと震えた。
どうしていきなり……いや、名前で呼ぶなんて些細なことで意味なんてなかったりするのかも?なにせ恋愛経験値がゼロなので、その辺の感覚がよく分からない。
久高くんは内心焦りまくる私の様子にも気付かず気怠そうに周囲を見回して、それからコテンと首を傾げた。
「俺んち……?」
「う、うん。久高くん歩けるか分からなかったからタクシーで来て……」
「そっか、ありがと」
合点がいったらしい久高くんはへにゃっと顔を綻ばせて頷いた。
酔いどれ状態になる前の理知的な雰囲気とは全く違う、無防備な微笑みの攻撃力は凄まじかった。
(か、かわいい……)
すっかり悩殺されて、私はいっぱいになった胸を思わず押さえる。