仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜


 慌ててその男の子の元に駆け寄った。


「大丈夫?パパとママは?」

「〜っ!〜〜っ!!」


 男の子は泣きながら叫ぶが、英語で何を訴えているのかよくわからない。
 とりあえず転んで足を擦りむいたりはしていないようだ。


「この子の親御さん、どこにいるんだろう?」

「おい、もしかして熱があるのか?」


 壱護は男の子の額に手を当てた。
 その子の顔は赤く、触った額からも熱を感じる。
 壱護は男の子を抱きかかえた。


「杏葉、スタッフ呼んで来い!」

「あ、はい!」


 すぐに杏葉は近くにいたスタッフを呼び、救護室に運ぶと共に親を呼び出してもらう。
 救護室のベッドに寝かせると、壱護は男の子の様子を注意深く診る。


「痙攣はしてなさそうだな……。Excuse me」


 英語でスタッフに何かを頼むと、急いでスタッフがアイスノンを持って来てくれた。
 壱護はそれを男の子の首回りに当ててあげる。

 また毛布をもらって男の子にかけてあげた。
 流石は現役の医者といったところだろう。応急処置には無駄がない。


「流石お医者様だね」

「専門外でもこの程度は常識だからな」


 やがて男の子の両親が救護室にやって来た。
 どうやら少し目を離した隙に見失ってしまったらしく、更には熱があるとは思っていなかったようだ。

 助けてくれたのが医者だったことに深く感謝していた。


「大丈夫かな?」

「恐らくただの風邪で大きな病気ではない。安静にしていれば大丈夫だ」

「よかった」


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