仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜
初耳だったし、そんなことを壱護に話していたのかと思うと嬉しいようなくすぐったいような気持ちになる。
「最初はあんたのこと世間のイメージ通りの女だと思ってたけど、全然違った。全くセレブじゃないし男には慣れてないし、不器用だし」
「う、うるさいな」
「自分のことより妹のことばっかりで、心の底から妹の夢を応援しててそのためなら何でもできるすごいやつだった。そういうところに惚れたんだよ」
「そんなに褒めても何もでな……え?」
思わずポカンとして壱護を見つめ返してしまった。
壱護はふっ、と面白そうに笑って杏葉の頬をつねる。
「アホヅラ」
「な、何!?えってか今ほ、惚れたって」
「気づくの遅えんだよ」
そう言うと壱護は再び杏葉を抱きしめる。
そしてそのまま押し倒されてしまったので、頭が追いつかないまま杏葉の心臓は大変なことになっていた。
「えっ、えっ!?どういうこと!?」
「もうめんどくさいから黙って」
そのまま唇で唇を塞がれる。キスされた、と認識した時には唇が離れていて、すぐにまた重ねられる。
舌で歯並びを確認するようになぞられたかと思うと、ねっとりと挿入された舌が杏葉の舌を絡め取る。
「ん……っ、ふ……っ」
あっという間にファーストキスは奪われ、そのまま何度も貪るように食べられる。キスの呼吸の仕方なんて知らない杏葉は、壱護にされるがまま彼の舌の動きに翻弄されるしかない。