初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
見知らぬ男性――今は名前くらいは知っているが――と関係を持ってしまった。また検査を受けたほうがいいんだろうか。
彼がどういう人なのか知らない。軽く一晩の関係を持てる人なのか、本当はきちんとした人なのか。
彼もまた、同じ心配をしているのだろうか。
誰とでもじゃない、と急激に言い訳をしたくなった。
あの晩だけ、特別だったのだ。
雪が見せた幻のように、あのときだけ。
「大丈夫? なんか変だよ」
言われて、初美は目を瞬かせた。
「旅行の疲れかな」
「雪で慌てて帰ってきたんだっけ」
「おみやげ買えなくてごめん」
「気にしないで」
順花はにっこりと笑った。
その笑顔を見るだけで、なんだかほっとした。
食事を終えると、順花は紙袋を初美に渡した。
「いいもの貸してあげる」
「なに?」
中を見て、初美は顔をひきつらせた。
「ちょ、これ!」
「こういうの、参考にしたら」
初美は顔を赤くした。
中身は女性向けのエロマンガだった。表紙の男女の肌色率がとても高い。タイトルもまた、愛欲をかきたてるものだった。
以前、感動した彼女が「これはただのエロじゃない、愛が描かれているの!」と興奮して勧めてきたことがあった。そのときは固辞したのだが。
元カレと別れる前、順花に夜のことで相談したことがあった。
それでこれを貸そうと思い至ったらしい。
「とりあえず三冊。気に入ったらもっと貸すよ。自分で買うんでもいいんだけどさ」
順花は語る。
彼がどういう人なのか知らない。軽く一晩の関係を持てる人なのか、本当はきちんとした人なのか。
彼もまた、同じ心配をしているのだろうか。
誰とでもじゃない、と急激に言い訳をしたくなった。
あの晩だけ、特別だったのだ。
雪が見せた幻のように、あのときだけ。
「大丈夫? なんか変だよ」
言われて、初美は目を瞬かせた。
「旅行の疲れかな」
「雪で慌てて帰ってきたんだっけ」
「おみやげ買えなくてごめん」
「気にしないで」
順花はにっこりと笑った。
その笑顔を見るだけで、なんだかほっとした。
食事を終えると、順花は紙袋を初美に渡した。
「いいもの貸してあげる」
「なに?」
中を見て、初美は顔をひきつらせた。
「ちょ、これ!」
「こういうの、参考にしたら」
初美は顔を赤くした。
中身は女性向けのエロマンガだった。表紙の男女の肌色率がとても高い。タイトルもまた、愛欲をかきたてるものだった。
以前、感動した彼女が「これはただのエロじゃない、愛が描かれているの!」と興奮して勧めてきたことがあった。そのときは固辞したのだが。
元カレと別れる前、順花に夜のことで相談したことがあった。
それでこれを貸そうと思い至ったらしい。
「とりあえず三冊。気に入ったらもっと貸すよ。自分で買うんでもいいんだけどさ」
順花は語る。