初めての溺愛は雪の色 ~凍えるため息は湯けむりにほどけて~
手が滑って床に落ちてしまった。袋から中身が飛び出す。
「あ!」
「大丈夫?」
蓬星が声をかけ、それを拾おうとして動きが止まった。
初美は慌てて拾い、紙袋に戻す。
「み、見ました?」
「――見てないよ」
蓬星があさってのほうを向いて言う。
絶対に見られた。
初美はかーっと顔を赤くした。
「あー、先輩、なんかやらしい!」
瑚桃の声がして、初美は飛び上がらんばかりに驚いた。
「石室さんに赤くなって、好きなんですか?」
「違うから!」
慌てて初美は否定する。
「あ、その紙袋って」
「お先に失礼します!」
初美は頭を下げ、慌てて部屋を出ようとした。
「待って、芦屋さん」
蓬星に止められて、どきっとした。
「この部署の性質上、私物の持ち込みは気をつけて」
「はい!」
やんわりと、エロマンガを持ち込むなと言われた。
初美はがっくりと肩を落とした。
初日から、さんざんだった。
数日後。
出勤後、始業前に順花に会いに行き、マンガを返した。
すると、次を貸されてしまった。
「なんでまた」
「面白かったってメッセージくれたじゃん。だから持ってきてあげたの!」
順花は得意げに言った。
確かに、そう送った。順花が言う通り、ただエロいだけじゃなく、きちんと恋愛が描かれていた。
ふりかかった困難に対して主人公があきらめずに特技や趣味で乗り越えていく様はスカッとした。
一方で、恋はうまくいかない。二人の距離はぎこちなくてもどかしかった。
切なくて、ページをめくる手がとまらなかった。最後に二人が結ばれたときには感動した。
「あ!」
「大丈夫?」
蓬星が声をかけ、それを拾おうとして動きが止まった。
初美は慌てて拾い、紙袋に戻す。
「み、見ました?」
「――見てないよ」
蓬星があさってのほうを向いて言う。
絶対に見られた。
初美はかーっと顔を赤くした。
「あー、先輩、なんかやらしい!」
瑚桃の声がして、初美は飛び上がらんばかりに驚いた。
「石室さんに赤くなって、好きなんですか?」
「違うから!」
慌てて初美は否定する。
「あ、その紙袋って」
「お先に失礼します!」
初美は頭を下げ、慌てて部屋を出ようとした。
「待って、芦屋さん」
蓬星に止められて、どきっとした。
「この部署の性質上、私物の持ち込みは気をつけて」
「はい!」
やんわりと、エロマンガを持ち込むなと言われた。
初美はがっくりと肩を落とした。
初日から、さんざんだった。
数日後。
出勤後、始業前に順花に会いに行き、マンガを返した。
すると、次を貸されてしまった。
「なんでまた」
「面白かったってメッセージくれたじゃん。だから持ってきてあげたの!」
順花は得意げに言った。
確かに、そう送った。順花が言う通り、ただエロいだけじゃなく、きちんと恋愛が描かれていた。
ふりかかった困難に対して主人公があきらめずに特技や趣味で乗り越えていく様はスカッとした。
一方で、恋はうまくいかない。二人の距離はぎこちなくてもどかしかった。
切なくて、ページをめくる手がとまらなかった。最後に二人が結ばれたときには感動した。