社内捜査は秘密と恋の二人三脚
説明できない気持ちが込み上げ、潜伏中でしかも社内だったのに衝動的にキスしてしまった。彼女には手を出すまいと思っていたのに、あの潤んだ目で見上げられて堪えられなかった。
しかも……昨日は彼女からキスされた。気持ちが整理出来ない自分を持て余している。
彼女は俺の迷いを端的に指摘して、忘れてくれていいと言った。忘れる?出来るわけない。最初からこうなる気がしていたから俺は彼女を文也のところへ連れて行ったんだろう。
深呼吸をし、頭を左右に振った。今は甘いことを考える余裕はない。
本社からの帰りに、関根課長と部長に本社での報告内容を連絡した。
また、里沙が長田達に絡まれたことも一応報告した。関根課長に斉藤さんのことも気をつけるよう伝えた。彼が営業二部にいてくれたことで予定より早く捜査が終わりそうだ。俺はいずれ本社へ戻る。
財団に戻ったときにはすでに退勤時間を過ぎていた。役員室に里沙を捜したが見当たらない。専務の行き先を尋ねた。
「お帰りなさい。めどがついて良かったですね」