社内捜査は秘密と恋の二人三脚

 彼は今日限りで財団を辞めて本社へ戻ると言っていたからだ。

 四人で向き合い、彼が私に向かって話し出した。

「俺の素性を関根課長は知っていた。というか、俺が話す前から薄々気付いていたんだ」

「まあ、彼の見た目はちょっと記憶があってね。いや、この眼鏡やよれよれの猫背じゃなくて、筋肉質なところや背の高さ、あと目の鋭いところとかね」

「どういうことですか?」

 私が関根課長に聞くと、彼は答えた。

「僕は本社の役員に同級生で親しい人がいるんだけど、その人のお兄さんと一緒にいつもいるのが彼なんだよ。だから見たことがあったんだ」
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