社内捜査は秘密と恋の二人三脚
斉藤さんはすでに知っているんだろう、笑いながら聞いている。私だけ知らないって事?……悲しかった。
「里沙。俺はこういうものだ」
名刺を渡された。
『氷室商事株式会社 役員企画室 室長 鈴村 賢人』
「……役員企画室?」
「秘書室とは違う、担当役員を実務から支える仕事だ。俺は氷室専務の担当だ。彼は御曹司で長男。氷室商事の次期社長になる」
そうだったんだ。会社の中枢にいるエリートだったのね。名刺を見たまま顔も上げず、何も言わない私に関根課長が言った。
「御曹司を支えて、次代の氷室商事を作っていくブレーンですよね。裏の役員ってところですね。氷室の屋台骨だ」