社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「あ、ああ、すまない。なんだい?」

 専務は急に両手で顔を覆い、ため息をついた。そして、手を外してこちらを見たときには普通の顔だった。

「あ、あの。その、そこの営業一部の会計書類、明日の打ち合わせのものです。何か問題点があれば今日中に連絡が欲しいと言われています」

「……」

 書類を手に取ると、ちろりと見て私に言った。

「わかった。今日は私宛の電話はもう取り次がないでくれ。打ち合わせ中、外出で戻らないと適当に言っておいて」

「……はい、わかりました」

「あ、そうだ。段ボール、運んでくれたんだよな?」
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