御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
挨拶をしながら有紗が中へ入ったのは午前九時半。三十人ほどの社員がすでに勤務についている。
就業時刻は九時からだが、小さな子供を抱えている有紗は就業時間を他の社員よりも三十分遅らせてもらっている。
有紗の姿を見るやいなや、社員から声がかかる。
「ああ、真山さん。よかった! 今電話が入っていて……ロンドンからなんだ。出社早々に申し訳ないけど、出てもらえるかな?」
「はい、わかりました。何番ですか?」
「五番だ、助かる!」
すぐにコートを脱いで席につく。受話器を取って番号を押した。
電話を終えると、すぐにまた別の社員から声がかかる。
「真山さん、申し訳ないけど、こっちの書類の翻訳を頼めるかな?」
出勤直後からたくさんの仕事が舞い込むが、これはいつものことだった。
「大丈夫です。午前中仕上がりでいいですか?」
「助かる! ああ、真山さんが出勤してくれてよかった〜!」
女性社員の言葉に、有紗は眉を下げた。
「長い間、お休みをいただいてしまって申し訳ありません」
双子が連続で熱を出してしまったから先週一週間は、一日も出勤できなかったのだ。
小さい双子を抱えるシングルマザーだという有紗の事情をすべて話した上での雇用だから、このようなことは想定内といえば想定内。
でもまだ働きはじめて二カ月なのにと、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「気にしないで、はじめからそういう約束だったじゃん。お互いさまだよ」
花田文具は創業五十年を迎える万年筆の品質に定評がある老舗メーカーだ。社員は約四十人。
社長の花田は、社員思いの温厚な人物で、社員が抱える様々な事情を考慮して働き続けられるよう配慮してくれている。
就業時刻は九時からだが、小さな子供を抱えている有紗は就業時間を他の社員よりも三十分遅らせてもらっている。
有紗の姿を見るやいなや、社員から声がかかる。
「ああ、真山さん。よかった! 今電話が入っていて……ロンドンからなんだ。出社早々に申し訳ないけど、出てもらえるかな?」
「はい、わかりました。何番ですか?」
「五番だ、助かる!」
すぐにコートを脱いで席につく。受話器を取って番号を押した。
電話を終えると、すぐにまた別の社員から声がかかる。
「真山さん、申し訳ないけど、こっちの書類の翻訳を頼めるかな?」
出勤直後からたくさんの仕事が舞い込むが、これはいつものことだった。
「大丈夫です。午前中仕上がりでいいですか?」
「助かる! ああ、真山さんが出勤してくれてよかった〜!」
女性社員の言葉に、有紗は眉を下げた。
「長い間、お休みをいただいてしまって申し訳ありません」
双子が連続で熱を出してしまったから先週一週間は、一日も出勤できなかったのだ。
小さい双子を抱えるシングルマザーだという有紗の事情をすべて話した上での雇用だから、このようなことは想定内といえば想定内。
でもまだ働きはじめて二カ月なのにと、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「気にしないで、はじめからそういう約束だったじゃん。お互いさまだよ」
花田文具は創業五十年を迎える万年筆の品質に定評がある老舗メーカーだ。社員は約四十人。
社長の花田は、社員思いの温厚な人物で、社員が抱える様々な事情を考慮して働き続けられるよう配慮してくれている。