御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
なにかと誤解を受けやすい男性上司と女性秘書との関係としては、最適な距離感だ。やはり彼女は優秀だったと龍之介は喜んだ。
……だがその頃から龍之介は、原因不明の物足りなさに悩まされるようになっていった。
思い返せば、あの頃からすでに自分は、彼女に惹かれていたのだろう。
真面目でクールだからこそ、彼女を選んだはずなのに、もう少し笑ってほしいという矛盾した気持ちを抱えるようになっていたのだから。
その彼女に対する想いを、はっきりと自覚したのは、海沿いの遊歩道で話をした夜だ。
今まで築いた人間関係を犠牲にしても、自分のもとで働きたいと言った彼女の、真っ直ぐな視線と熱い言葉が、龍之介の胸を貫いた。
そして生まれてはじめての感情が胸の中に存在するのを感じていた。
——自分は彼女を女性として好きなのだ。
生き馬の目を抜くような世界で、欲に塗れた女性たちに囲まれて、うんざりとしていた龍之介にとって、彼女は澄んだ泉のそばに咲く一輪の花のようだった。
有紗は、龍之介が今まで出会った中で誰よりも誠実で信頼できる女性だ。
彼女にずっとそばにいてほしい。
自分は彼女を愛しているのだ。
旧華族の名家に生まれ、巨大な企業を存続させるのが当然とされる重圧は、知らぬ間に龍之介の心を蝕んでいた。
寄ってくる者には皆目的があり、信用できる者は少ない。
恋愛とて同じこと。
表面上の付き合いはともかく、心から誰かを信頼し愛することなどできそうにない。
その自分が、こんなにも容易く人を愛せたのだということに驚される日々だった。
そして、そのこと自体にあたたかい気持ちになった。
だからといって、上司と部下の関係では自らの気持ちを告げることはできなかった。
新しい仕事にまい進する彼女を混乱させたくない。
彼女に負担にならない程度の労いとしてチョコレートを贈るくらいがせいぜいだ。
チョコレート食べる時の輝く瞳と、弛んだ頬、幸せそうな笑顔は、昼も夜もなく働く龍之介にとって、なくてはならないものになっていった……。
「副社長」
運転手に呼びかけられて、龍之介はハッとする。
「なんだ?」
「今の時間、駅前通りは混みますから、裏道を通りますね」
「ああ、そうしてくれ」
……だがその頃から龍之介は、原因不明の物足りなさに悩まされるようになっていった。
思い返せば、あの頃からすでに自分は、彼女に惹かれていたのだろう。
真面目でクールだからこそ、彼女を選んだはずなのに、もう少し笑ってほしいという矛盾した気持ちを抱えるようになっていたのだから。
その彼女に対する想いを、はっきりと自覚したのは、海沿いの遊歩道で話をした夜だ。
今まで築いた人間関係を犠牲にしても、自分のもとで働きたいと言った彼女の、真っ直ぐな視線と熱い言葉が、龍之介の胸を貫いた。
そして生まれてはじめての感情が胸の中に存在するのを感じていた。
——自分は彼女を女性として好きなのだ。
生き馬の目を抜くような世界で、欲に塗れた女性たちに囲まれて、うんざりとしていた龍之介にとって、彼女は澄んだ泉のそばに咲く一輪の花のようだった。
有紗は、龍之介が今まで出会った中で誰よりも誠実で信頼できる女性だ。
彼女にずっとそばにいてほしい。
自分は彼女を愛しているのだ。
旧華族の名家に生まれ、巨大な企業を存続させるのが当然とされる重圧は、知らぬ間に龍之介の心を蝕んでいた。
寄ってくる者には皆目的があり、信用できる者は少ない。
恋愛とて同じこと。
表面上の付き合いはともかく、心から誰かを信頼し愛することなどできそうにない。
その自分が、こんなにも容易く人を愛せたのだということに驚される日々だった。
そして、そのこと自体にあたたかい気持ちになった。
だからといって、上司と部下の関係では自らの気持ちを告げることはできなかった。
新しい仕事にまい進する彼女を混乱させたくない。
彼女に負担にならない程度の労いとしてチョコレートを贈るくらいがせいぜいだ。
チョコレート食べる時の輝く瞳と、弛んだ頬、幸せそうな笑顔は、昼も夜もなく働く龍之介にとって、なくてはならないものになっていった……。
「副社長」
運転手に呼びかけられて、龍之介はハッとする。
「なんだ?」
「今の時間、駅前通りは混みますから、裏道を通りますね」
「ああ、そうしてくれ」