御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
本社へ戻ると千賀が副社長室で待っていた。報告があると言う。

「ご依頼の資料です」
 
そう言って彼が差し出したのは、ベリが丘における育児環境についてまとめた資料だ。

一歳頃から成人に至るまで、必要になる施設や環境について詳しくまとめられてある。

ざっと目を通して、とりあえずベリが丘が子育てに良さそうな環境だということに安堵する。
 
そして、まず千賀に謝った。

「ありがとう、業務外のことを頼んで申し訳なかった」

これは自分のプライベートに関わることなのだから本来は自分で調べるべきだった。

だが、通常の業務に加えて花田文具買収で手が回らずやむを得ず千賀に依頼した。

親戚であり幼なじみでもある彼は龍之介にとって、もっとも信頼できる相手だ。
 
千賀がふっと笑った。

「真山さんに戻ってきていただくためですから、業務外とは言えませんよ。すでに秘書室ではリモートワークの環境も整えました」
 
すでにその気になっている彼に、龍之介は釘を刺した。

「まだ戻るとは決まっていない。彼女の意思しだいだ。たとえ戻っても以前のようには働けない。彼女には幼い子がいるのだから」

「もちろん承知しております。ですが彼女ならば、以前の半分……いえ、四分の一の業務量でも十分戦力になります。なんなら働かず副社長のそばにいてくれるだけでも、副社長のコンディションは、格段によくなるでしょう」
 
千賀の言葉に、龍之介は咳払いをして目を逸らした。

龍之介の動きをすべて把握している彼もまた、あの夜のことを知っている。

「彼女は明日こちらへ出社する。すぐに部屋へ来てもらってくれ」
 
気まずい思いでそう言うと、彼は頭を下げて答える。

「かしこまりました。話し合いがうまくいくようお祈りしております」
 
そして部屋を出ていった。
 
龍之介はそのまま資料を読み込む。

やはり環境は問題ないと確認し、鍵のかかった引き出しから別の資料を取り出した。
 
有紗と双子の息子に関する資料だ。
 
街をゆく有紗が双子用のベビーカーを押している写真が添えられている。
 
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