断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 お湯が沸いたのか、ユイナがティーポットに注いでいく。
 するといきなり空中に砂時計が現れた。
 砂はサラサラ落ち始めて、今度は紅茶の蒸らしタイムらしい。

「まぁ、選択の砂時計が生で見られるなんて」
「選択の砂時計?」
「ええ、別名・非道の砂時計。砂が落ちきる前に選択肢を選ばないと、ランダムに選択されて勝手にゲームが進行してしまうという初心者泣かせのくそルールですわ」

 ジュリエッタ、ずいぶん言葉が乱れてんぞ。
 ってか、確かにクソゲーの香りしかしないけど。

 なんてことを会話してる間に、こぼれる砂はどんどん目減りして。

 いよいよ運命の分かれ道だ。
 息を詰めて、ティーポットに手をかけるユイナの動きを目で追った。

「でもジュリエッタ。常識的に考えて、いちばん身分の高い人間から提供するのが普通ではなくって?」
「言ってもゆるいゲームの世界ですから。それにシュン王子以外を選ぶと、ダンジュウロウ様から教育的指導が入りますし」

 おお、小言を並べ立てるダンジュウロウが目に浮かぶようだ。

 にしてもそのゆるい世界で、ギロチン処刑とか設定の振り幅大きすぎやしない?

「いよいよですわね」

 声を潜ませた未希につられて、緊張が高まるのが分かった。

 どうか山田だけは選ばれませんようにっ。
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