断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「あい分かった。このリュシアン・ヤーマダの名にかけて約束しよう。王子が私欲で権力をふるうことを決して許さぬと」
「リュシアン様……心より感謝いたします」

 っしゃあ! 確約もぎ取ったった!

 内心では雄たけびを上げたけど。
 表向きは、ほっとした顔で令嬢らしく涙ぐんでおいた。

「しかし、王子も嫌われたものよのぅ……」

 呟いたリュシアン様、残念そうにため息ついてる。
 不詳の孫持つと、おじいちゃんもたいへんだよね。

「言うておくが、今日の件は孫可愛さゆえのじじいの勇み足じゃ。シュンに頼まれたわけではないことだけは知っておいてくれまいか」

 山田が泣きついて来たってわけじゃないのか。
 そこまで情けない奴じゃないから、誤解しないでほしいってことなんだろうけど。

 本当に山田のことを大切に思ってるんだな。それなのにリュシアン様は、あのとき山田からわたしを助けてくれたんだ。

 公明正大な王様だったってよく耳にするし。
 このひとなら信頼しても大丈夫だって、こころからそう思えた。

「ハナコ嬢がシュンの嫁に来てくれるのなら、わしの老後も安泰なんだがのぅ……」

 ぎゃっ、なんてあきらめの悪いご発言っ。
 全力で聞こえなかったフリさせていただきますっ。
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