断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「この手をお離しになって。マサトの言う通りわたくし帰宅するところですのよ」
「逃げるあんたが悪い。昨日俺と約束しただろう?」
「気分が悪くなったことは教室にいた者に伝えさせたはずですわ。それに一方的に誘われただけで、わたくし了承した覚えはございません」

 つんと顔をそらすと、なんだか面白そうな顔された。
 やば、もしかしてロレンツォってハンター気質? 逃げるほど追いかけられるなんて、マジで勘弁してほしいんですけど。

「それともなんですの? わたくしを無理に従わせるおつもりですか?」

 フランク学園では身分を振りかざすのは校則違反だ。
 いくらイタリーノ国の王子だからって、留学してきた以上は生徒は生徒。そんなことしたらリュシアン様にチクってやる。

「じゃじゃ馬娘が……ますます気に入った」

 ボソッとそうつぶやかれて。
 もう、ホントにやめてよ! これで好感度上がるだなんて、ロレンツォも大概なんじゃ。

「いいだろう、今日は見逃してやる。明日また迎えに来る。今度は逃げるなよ」

 なによ、上から目線に。デートに誘いたいならもっと言いようがあんでしょうが。
 でもこのままじゃマズいな。ようやくここまで来たってのに、今さら攻略対象に振り回されるだなんて。

「でしたら明日、わたくしがロレンツォ様をお茶会に招待いたしますわ。放課後になったら裏庭にいらしてくださいませ」

 どうしても避けられないなら、こっち主導で進めた方が変な事態は回避できるだろうし。

「行きましょう、マサト」

 返事を待たずにロレンツォに背を向けた。もし来なかったとしても普通にお茶会を楽しめばいいしだけだしね。

 っていうか、わたしの残り少ない学園ライフ、これ以上かき乱さないで――――!
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