断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 あと数センチずれてたら即死だったよって。魔法医の先生にニッコリ笑顔で聞かされて、ガクブルしちゃったのはここだけの話ね。

「そもそもどうして健太にシュン王子のそばまで運んでもらわなかったのよ。そうすればもっと早く大使を止められたのに」
「イヤだって、あのときは会場の混乱がすごくって……」
「俺もちょっとテンパってたし。姉ちゃんをステージに運んでたとしても、すぐにゆいなを探しにあの場を離れてたと思う」
「ま、結果は変わらなかったかもね。大使が失敗したときの保険で、護衛の男まで刺客として紛れ込んでたんだし」
「本来なら戦争勃発の騒ぎだよな。なにしろ王子の命が狙われたんだから」

 実は今回のこの騒ぎ、ある程度何かが起こるだろうってことは山田もリュシアン様も事前に分かってたみたいなんだ。
 ここ数年、ヤーマダ国のあちこちで不穏分子の犯罪が頻発してて。フランク学園内に部外者が入り込んだりしてたのもその一端だったらしい。

 で、イタリーノにはびこるマフィアが裏で糸を引いているのが判明してさ。イタリーノ国の協力も得て地道に捜査を進めてたって話。
 協力者にはロレンツォも入ってて、わたしをイタリーノに連れ出そうとしたのはその方が安全だと思ったからなんだって。

「しかしまさか大使が裏切ってたなんてね。協力するふりしてこっちの寝首をかこうとしてたんでしょう?」
「うんでも未希姉ぇ、俺が聞いた話だと、大使の凶行は家族の命を盾に脅されてのことだったみたい」
「うわ、イタリーノマフィア、闇がふかっ」

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