《旧版》涙色の夢路(ゆめ)【壱】
「い……ッた……!」

 かなり強打したみたいで、立ち上がることさえままならない。
 あたしは顔を歪め、打った場所を押さえる。(おもむろ)に手を離すと、手にはベッタリと血糊が付いていた。

「……ッ」

 額から流れ出た血が、床に日の丸を描く。
 助けを呼ぶことすらできないまま、あたしは意識を手放した――。


 う……眩しい……!
 寝かされているの……?

「目が覚めましたか」

 ん……?

 ボンヤリとしていた視界が、だんだんハッキリとしてくる。

 人? 誰か、居るの……?
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