【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
私は冗談などではなく、本当にこの子たちが健やかに過ごしている姿が見たくて、一緒に戯れたくてここに来ているので当然の事を言っただけなのだけれど。
修道院長様に頭を下げてその場をあとにし、庭園に集まっている子供たちの元へと急ぐと、そこにはソフィアも皆に交じって遊んでいた。
公爵家から寄付された人形を使って、皆で人形遊びを始めている。
随分皆と打ち解けたわ……勉強も沢山学んでいるし、この中では少しお姉さんに見えるくらい。
皆の中にとけ込むソフィアを微笑ましく見ていると、私の腕を引っ張ってきた男の子は”だるまさんがころんだ”をやりたいらしく、可愛らしくおねだりしてくる姿に私は思わず笑ってしまう。
「オリビア様が教えてくれた”だるまさんがころんだ”をまたやりたいんだ~~ダメ?」
上目づかいで私の心に簡単に入ってくるとは……これは将来、とんでもない人たらしになりそうな予感。
サンドは顔立ちも可愛いし、末恐ろしいわね。
「仕方ないわね。じゃあ”だるまさんがころんだ”をやりたい人!」
「「はーい!」」
私の声に沢山の子供たちが、挙手で応えてくれる。
20人くらいいるかしら……皆、この遊びが大好きなのね。教えたかいがあったわ。
”だるまさんがころんだ”は、私がここでの遊びで使えそうだなと皆に布教した遊びだった。
現代のようにゲーム機があるわけじゃないし、だるま自体はこの世界にはないんだけど、ちゃんと絵に描いてだるまさんを理解してもらった結果、子供たちは意気揚々と遊んでくれるようになった。
そのはずだったのだけど、だるまさんがころんだの部分は10文字だったら住む地域によって色んな言葉があるのよねって私が言うと、子供たちは違う言葉に置き換えて遊ぶようになってしまったのだ。
「じゃあ、いつも通り私が鬼をやるわね」
「いいけど、僕たちが考えたヤツでやってね。みんなもその方がいいよね?」
「「うん!」」
子供たちが違う言葉に置き換えた”だるまさんがころんだ”は、様々に形を変え、当初は”おうじさまがころんだ”になったのだけれど、修道院長様が不敬に当たると慌ててしまい……次は”おうじさまははんさむ”に変わり、最終的に最も私が口にするのが憚られる言葉になっていったのだった。
皆、この国の王太子殿下が大好きなのね……あの事件があって以来、ヴィルは国民からヒーローのような目を向けられるようになっていた。
聖ジェノヴァ教会の悪事を暴き、婚約者を助け出したヒーロー……間違ってはいないけれど、今日もアレを言わなきゃダメなんて……。
でも子供たちは期待の目でこちらを見てくるので、やらないわけにはいかないわね。