【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「閣下、ありがとうございます!お久しぶりです」
「マリア様、オリビアをよろしくお願いいたします」
「もちろんです!」
マリアがお父様とお話する姿を見て、とても嬉しそうな様子に何となく女の勘が働いてしまう。
もしかして……
「閣下は大人の男性って感じがして、素敵よね~~誰かさんと違って」
馬車でうっとりと話すマリアは、お父様への憧れの気持ちを隠さずに話してくれた。
そしてマリアの同行を余儀なくされ、お父様と比べられたヴィルは終始不機嫌な様子で、むっすりと口を閉ざしてしまう。
なんだか先行き不安な旅になりそうな予感だけれど、馬車は比較的綺麗な道である街道を順調に進み、公爵邸から少し南にあるディーガン港に到着したのだった。
~・~・~・~・~
馬車から降りて港を見回してみると、港には多くの帆船が停泊していて、賑わっているのがヒシヒシと伝わってくる。
まだ朝も早いので、漁獲された海産物を輸送する船や貨物船、旅行客などを乗せている旅客船などもそこかしこに停泊していた。
私がバッドエンドを回避した事で小説の中身も随分変わっているでしょうし、ここからは未知の領域だから色々な事を楽しみたい。
沢山の帆船の中に、ひと際煌びやかな船が目に入ってくる。
「ねぇヴィル、もしかしてあの船って……」
「ああ、あの船が我々が乗る船だ。美しいだろう?」
「え、ええ。そうね、とっても……」
ヴィルがあまりにも爽やかな笑顔で船を自慢げに紹介してくるので、煌びやか過ぎてちょっと恥ずかしいとは言えなかった。
いつぞやのド派手な馬車でやって来た時を思い出すわね。
王族たる者、煌びやかなものに乗るべきというのは理解出来る……ロイヤルですものね、他国から侮られない為にも必要な事なのでしょうし、理解はしているわ。
でも私自身は普通の主婦だったので、こういった豪華なものに全く免疫がない。つい主婦的な考えから、財をつぎ込み過ぎとか、もっと質素にとか思ってしまう。
今回は国賓として招かれているから、こういった船で行く事も大事なのかもしれないと思い直し、美しい船へと乗り込んだ。
マリーやゼフは荷物を運び込むのに忙しそうだし、ヴィルは船内をチェックしているので、私はソフィアの相手をしながら出港の時を待つ事にした。