【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「あら?ガイアス卿、マリーの事を診ていてくださったのですか?」
「はい、運んだ時も状態が悪そうだったので」
「まあ……良かったわね、マリー」
マリーの事をここまで心配してくれるなんて、真摯な人柄に見える。
海で出会うなんて素敵……なんて、私が老婆心を出してほんの少しニヤニヤしていたのを感じたのか、マリーが慌てて起き上がろうとする。
「お、お嬢様!……ご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ございません……」
「おい、寝ていないと危ないぞ」
そうよね、体調も良くないんだし寝てないと危ないわよね。
私がいると気を遣って起き上がろうとするでしょうから、ここは船が着くまでそっとしておいた方がいいかもしれない。
それにこの部屋にも小さな天窓が付いているのを確認し、マリーの気分が良くなるようにガイアス卿がこの部屋に運んでくれたのでしょうから……口が悪い時もあるけれど、さり気ない優しさを発揮するところが信頼出来るわ。
「マリーの様子も確認出来たから、私たちは別室で休んでいるわね。マリーは何も気にせずゆっくり休んで」
申し訳なさそうな様子のマリーに気にしないでという意味も兼ねてウィンクをすると、その部屋を後にして先ほどのサロンへと戻ってきたのだった。
「ガイアス卿はとても信頼できる人物のようね」
「そうなんだ。とても優秀で王宮騎士団の隊長も務めている。特に航海術に関しては――――」
ガイアス卿の事を話し始めたヴィルは、余程気に入っているのか彼に関する話が止まらないようで、まるで自分の事のようにつらつらと褒め言葉を並べていった。
ヴィルより何個か年上だし、兄のような感じなのかしら?とても尊敬しているのがヒシヒシと伝わってくるわね。
「――――というわけで、ドルレアン国へはさほど時間もかからないから、彼にお願いしたんだ」
「へーそうなの」
あまりに話が長くて半分くらい聞いてなかった私は、棒読みで応えてしまう。
「もうすぐドルレアン国に着くけど、あの国はあまり居心地のいい国とは言えないから、建国祭が終わり次第すぐに帰ろうと考えている」
「陛下は観光でもしておいでって言っていたけど、それもあまりしない方がいいかしら」
「まぁ……父上は少し国内を見て来てほしいんだと思う。他人事だと思って……」