【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】

 「前はこんな感じの顔だったわよね」


 不覚にも本当に似ていて、吹き出してしまうのだった。

 女性の顔を見て吹き出すなど失礼極まりないのだが、オリビアはそんな私を見て「そうやって笑っていると、小さい頃のあなたに戻ったみたいね」とホッとした表情を見せた。


 彼女なりの励ましのつもりだったのかもしれない。

 そんな優しさが何より嬉しくて、母上との関係での悩みなどちっぽけな事のように思えてくる。


 公爵邸に着き、馬車の扉を開こうとするオリビアの手を止め、彼女に触れるだけのキスをした……領地での私ではきっと嫌がられていただろう。


 今は自然と受け入れてくれる。

 それだけで酷く幸せだと思えるのだから、私も大概単純な男だ。


 彼女を公爵のもとへ送り届け、その日は気分よく王宮へと戻って行ったのだった。


 
 ~・~・~・~・~
 

 
 そうこうしているうちにドルレアン国へと出発の日になり、颯爽と公爵邸へオリビアを迎えに行った。


 しかし、いざ出発する日になると、すっかり記憶から消していた人物が公爵邸まで追いかけてきて、私たちの新婚旅行……ではなく仕事について来ると言って騒ぎ出したのだった。


 「オリビア~~久しぶり!聞いてよぉぉぉヴィルが……」


 「うるさい」


 私はマリアの存在をすっかり忘れていて、この頭が痛くなる声を聞いて嫌な予感が頭を過ぎっていく。

 早くこの場から退散させなくては……私たちの新婚旅行……ではなく大事な仕事が妨害されてしまう。

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