【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
ザンダ鉱夫長は何を言っているのか分からないという表情をしているけれど、私は構わず話を続ける。
「ガス中毒者が出たり、爆発が起きるかもしれないし……ここは海も近いから、何かと事故が多いんじゃないかって心配なの」
「へぇ……でもそのような事にはなりませんので、ご安心ください」
「そうなの?」
私はなんとなくぼんやりと知っていた炭鉱での事故などを並べてみたけれど、彼は全く心配などしていない様子だった。
どうして?少なくともあんな岩の山が築かれるくらい掘り進めているのなら、事故の1つや2つは起きてるはず。
もちろん事故がないに越したことはないけれど……違和感が拭えずにいると、鉱夫長は全ての杞憂を吹っ飛ばすかのような表情で私に告げた。
「全ては火の神のおかげです。我々は守られておりますから、ありがたいことです」
「…………そう」
なんだか全てを神の加護で済ませてしまうのは、聖ジェノヴァ教会と重なってしまって、どんどん胸がザワザワしてくる。
妄信とも思える思想……そう考えると、ヴィルの母である王妃殿下って全くそういう感じがないから、ある意味凄いのかもしれないと思ってしまう。
神を全く信じていないものね。
炭鉱での違和感を拭えないまま、その日はもうタイムアウトだったので、大人しく炭鉱を後にするしかなかった。
日が暮れる前に王城へ戻ってきた私は、レジェク殿下と別れる前にどうしても聞きたかった事を聞いてみる。
「レジェク殿下。我が国で行われていた貴国の人身売買の件、主犯が誰か、子供たちはどこにいるのか、未だ分からないままです。国王陛下も謁見の時にその話題には一切触れず、あなたからも何もない状態なのはいささか国として不誠実ではありません?」
「…………私に聞いたところで、あなた方にとって有益な情報は何もありませんよ」
私の質問に吐き捨てるようにそう言ってくるレジェク殿下。
「それはなぜだ?貴殿は王太子ではないか」