【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
ツッコむところはそこじゃないでしょ?!
思わず私の方がツッコんでしまったじゃない……子供より子供みたいな反応をするんだから。
ヴィルの言葉に、レイバンと名乗る男の子は呆れたような表情をしている。
「おじさん……」
イザベルが頬を赤らめて呟く。これは笑いを堪えている表情ね。
そしていつの間にか合流していたゼフに肩をポンとされ、皆に哀れまれてしまうヴィルだった。
「ゴホンッ。ゼフ、我が国から連れて来られた子供たちを見つけた。本国に知らせを飛ばしてくれ」
「承知いたしました」
ヴィルの言葉を聞いたレイバンが遠慮がちにヴィルのそばにやってくる。
そして彼の袖を少し引っ張りながら、小声で疑問を口にした。
「今、我が国からって言った?」
「そうだ。私はハミルトン王国の王太子、隣りにいる女性は私の”婚約者”だ。私はずっと君達を探していた……」
「じゃあ、オレたち、帰れるの……?」
婚約者という言葉を強調したような気がしたけれど、そんな事はどうでも良くて、さっきまで絶望していたレイバンの表情が期待に満ちていく。
「ああ。必ず連れて帰る」
ヴィルの言葉に、レイバンの目から大粒の涙が次々に溢れてくる。
私と同じくらいの背丈の男の子が人目も憚らず大泣きする姿に、私も涙が止まらなくて、一緒になって泣いてしまった。
ヴィルがレイバンの頭をずっと撫でているので、その姿が微笑ましい。
レイバンが落ち着いたところで他の救助された2人についても聞いてみると、皆ハミルトン王国の子供らしいので、レジェク殿下に連れて帰る旨を伝えた。