【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
地面が揺れ、周りの人々から一瞬だけ悲鳴が上がる。
「炭鉱で事故が起こった――!!」と叫んでいるのが聞こえてきたので、今の爆音は炭鉱からだというのはすぐに推察出来た。
マリアはガス爆発ではないかと言っているが、私が気になったのはここにいる人々が、このような事に慣れているような姿だ。
「また?」「すぐにおさまるでしょ」「うるさいなー」「早く鎮火させてよ」などと他人事のように話している者ばかり。
やはりそうか――――腕相撲大会後にゼフを一人残してきたのは、あそこにいる炭鉱夫達に労働環境などの聞き込みをしてもらう為だった。
【ここにいる炭鉱夫はドルレアン国の民ではない者が半数近く。連れて来られた者や中には移民もいるが、そういった者たちが一番最深部の危険な仕事をさせられている】
調査結果はこのように最悪なものだった。
しかし現場での貢献度によっては軍入りや王城勤めなど、職を選べるようになるらしく、皆がせっせと働いているらしい。
炭鉱では我々が思う以上に事故が多いので、一刻も早く違う職に就きたい……と炭鉱夫たちが酒を飲みながらこぼしていたという。
ゼフの戻りとすれ違いになってしまった為、カンウェイ炭鉱から戻ってきてからこの事実知る事となり、激しく後悔した。
あの時に知っていれば、もっと最深部へ進んでいたものを――――
今度こそ連れて来られた我が国の民がいるかもしれないという気持ちを胸に、事故があった現場へと向かったのだった。
~・~・~・~・~・~
現場へ行く途中でマリアに尻を叩かれたレジェクは、今までと態度が一変し、様々な情報を共有してくれるようになった。
「見た感じではそれほど被害は大きくなさそうに見えるけれど……」
「はい。それほど奥で爆発が起こったわけではないので、皆急いで避難出来たのですが、奥の方で作業していた者は…………」
オリビアの問いにザンダもレジェクも俯いてしまう。
それではここに連れて来た者達は、誰一人助からなかったと言われているようなものではないか……!
「どうにか助ける手立てはないのか?!」
「………………っ」
私の問いにレジェクはただ俯くばかり……せっかくここまで来て、一人も助ける事が出来ないとは…………。
そんな私の気持ちとは裏腹に、炭鉱の鎮火に向けての話し合いが始まっていく。
「この現場はもう廃坑にするしかないだろう。近くの河から水を引けそうか?」
「はい。すぐ近くにアズーニ川がありますので、そこから引こうかと」