【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「今日はそのような話ではなく、昨日炭鉱にて我が国の民を発見したという話をしに来たのです。連れて帰りたいと考えておりますが、了承していただけますか?」
「ダメだ、と言うたら?」
「そのような選択肢はありませんので、了承していただかねば陛下がお困りになるだけかと存じますが」
ヴィルがとても強気な事を言うので、隣りでドキドキしながら見守っていると、国王陛下よりも王妃殿下の方が烈火のごとく怒りを爆発してきたのだった。
「おのれ、ヴィルヘルム……!そなたのような小者が、口の利き方に気を付けよ!!」
「私はいつも気を付けております。王太子として恥ずかしくないように接しているつもりですし、常に暗殺の危機にさらされておりますので、自身の身辺には特段気を配っております……特にそこのラスクルの存在など」
「な……っ!!」
王妃殿下も驚きの表情を見せているけれど、私もヴィルが突然何を言い出したのか信じられず、彼の顔を凝視してしまう。
ヴィルはゆっくりこちらを見て、少し申し訳なさそうな表情をした。
ずっと気付いていて、私に言えなかったのね……私がソフィアから離れられなくなってしまうから。
「いやですね~~そんなとばっちりを向けないでください」
「炭鉱の事故現場で、お前がこの国の者ではない事は分かっている。自身の発言には気を付けるんだ。それにお前が時折見せる言語の訛りがずっと気になっていて、ようやく思い出した……その訛り、レジストリック人のものだな?」
「………………」
レジストリック――――カサンブリア王国から分裂した国の1つだわ。
ハミルトン王国とナヴァーロ王国もレジストリック王国と一緒に、かつてはカサンブリア王国の1つだった。
ヴィルは同盟国の事なので聞いた事があったのね……ヴィルに尋ねられてラスはジッと黙っている。
なぜレジストリックの者であるラスが通訳に来ているの?ヴィルの暗殺の為にわざわざ?
何だか腑に落ちなくて、何か違う理由があるような気がしてならない。
「石炭の主な取引相手がレジストリック王国、なの?」