【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
<第三部最終話>船上のマリーベル / 第三部あとがき
行きも晴れだったけれど、帰りもカラッと晴れ、昨日が嘘のように火山性微動もなく、平和な馬車の旅を満喫しながら港へと向かった。
そして無事に港に着くと、ガイアス卿が荷物を積み込んだり、船の整備をしたり、忙しく動き回っている。
「私も荷物の積み込みをお手伝いしてきます!」
「マリー、船酔いしちゃうんだから無理しないで」
「大丈夫です!今のところは元気ですし、ガイアス卿に全部させるのは申し訳ないので」
マリーは全く引く気配がないので渋々行かせたけれど、もし何かあればガイアス卿が休ませてくれそうだし、見守る事にしたのだった。
それよりも問題は――――レジェク殿下だ。
「マリア~~~帰ってしまうのか?」
「帰るに決まってるわよ!」
「もう少し我が国にいてくれ!ほら、君の好きな温泉まんじゅう」
「わぁ、美味しそう!って食べ物で釣ろうとしてもダメよ!なんで私が好きだって知ってるの?!」
この二人は何をしているのだろう。
なんだかお笑いコンビのようなやり取りをしているわ……生温かい目を向けている私の隣りでヴィルが必死に笑いをこらえている。
「そんなに遠くないんだから、遊びに来ればいいでしょ?」
「いいのか?」
「でも国を立て直してからね!ちゃんと仕事したら遊びに来ればいいんじゃない」
「分かった。約束する」
マリアの言葉に素直に言う事をきくレジェク殿下も、可愛いところがあるじゃない。