凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
生まれた時に精霊から祝福を受け、子供の頃より大人顔負けに光の魔力も扱えていた事から、人々に安寧と癒しをもたらす「虹の乙女」になれるのではと期待され、そして先日、バスカイル家は「アメリアを虹の乙女とする」として大々的に公表したのだ。
ここ数百年現れなかった虹の乙女に妹はなった。片やその姉であるルーリアは、邪悪とされる黒精霊から祝福を受け、人々に災いを引き起こし混乱に陥れる存在になるかもしれなく、バスカイル家の侍女たちは妹と比較して「凍てつく乙女」と陰口を叩いている。
不意にジェナと目が合うものの、気まずげに視線を逸らされ、そして隣のアズターも相変わらずこちらを見ようともせず、ルーリアの胸が切なく痛む。
(お父様とお母様にとっても、やっぱり私の存在は恥なのね)
そしてもうひとり、ルーリアの存在を疎ましく、それ以上に見下している者がいる。
「……ああ、そう言えば、ルーリアお姉様も一緒に参加だったわね」
クロエラに代わって、花のような笑顔で馬車に乗り込んできたアメリアが、ルーリアに気が付いた途端、穢らわしいものでも見てしまったような顔つきとなる。
そして値踏みでもするようにルーリアに目を向けたあと、身に纏っているドレスやネックレスにしばし目を留めて、わずかに眉間に皺を寄せた。そして、苛立ちを隠しきれないままに、質素なものしか与えられなかった姉を小馬鹿にするように笑ってみせた。