凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 馬車がぴたり止まり、ぼんやりと窓の外を確認したルーリアは、ハッと目を大きく見開いた。
 到着したのは我が家で、玄関先に止まった馬車の横には母ジェナとアメリアが立っていた。
 ひとりで馬車を降りたクロエラに、アメリアは笑顔で駆け寄り、抱きつく。

「伯母さま、ご機嫌よう。今日は伯母さまは一緒じゃないと聞きました。色々とお話をしたかったのに残念だわ」
「ああ、アメリア。そんな風に言ってくれるなんて、どこまでも可愛い子だよ」

 クロエらは嬉しそうに顔を綻ばせながら、アメリアの頭に軽く触れた。
 アメリアは髪や目の色こそルーリアと同じだが、艶やかで柔らかく波打つ豊かな髪は綺麗に結い上げられ、煌びやかな輝きを放つ髪飾りも惜しみなく使われている。
 そして、体型も痩せすぎなルーリアとは対照的に健康的で、女性的な曲線をしっかりと描いている。
 クロエラだけでなく、ディベルもアメリアへ温かで誇らしげな視線を向けているのに気づいて、ルーリアの気持ちがずんと重くなる。

 アメリアは伯父夫婦のお気に入り……と言うより、バスカイル家みんなから愛されている。

< 9 / 229 >

この作品をシェア

pagetop