凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(エリンさんもとても優しくて、温かい)
穏やかな気持ちになっていたルーリアだったが、玄関の方が一気に騒がしくなったことに気づいて視線を向けた。その瞬間、ならず者だろう男三人を後ろに従えて、遠慮のない足取りで屋敷の中に入ってきた姿を視界に捕らえ、大きく息をのむ。
「カルロス・ジークローヴはどちらに? 今すぐ会って確認したいことがあります」
(……ク、クロエラ伯母様!)
姿を隠さないとと頭ではわかっているのに、恐くて足が竦んでしまい、ルーリアはその場から動けない。
「お待ちください。ただいま、カルロス坊……カルロス様は屋敷におりません」
「そう。だったら今すぐ呼んで来てちょうだい。バスカイルの者が話をしたいと言えば、応じるはずよ」
ようやく相手が誰か理解したエリンが狼狽えるように身を引いたことで、クロエラはその場を見まわし、廊下の奥にいるルーリアに目を留める。
表情に怒りをみなぎらせながら、クロエラは一直線にルーリアへと向かってくる。
「あんたって子は!」
怯えきっているリーリアの頬を、クロエラが力一杯叩いた。よろめいたルーリアに尚もクロエラが掴み掛かろうとしたため、慌てて追いかけてきたエリンが割って入った。
「いきなり何をするのですか!」
「うるさいわね。私はこの子の伯母よ。部外者は口を挟まないでちょうだい」
「そうはいきません!」