凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
アメリアのおねだりを聞いて、ディべルが顰めっ面となり、気だるそうに答えた。
「カルロス・ジークローヴか。ジークローヴ公爵家の若き当主で、非常に有能な男だと言われているが、あいつはダメだ。黒精霊の気配に敏感でバスカイル家の汚点に気付かれる可能性がある。だからふたりとも、特にルーリアは絶対に近づくな。それに、アメリアが踊るべきなのは、死神公爵だなんて呼ばれているあいつではなくシャルード王子だ」
普段は何事にも甘い伯父から、きっぱりと駄目と言われてしまったアメリアが、怒りをぶつけるようにルーリアをぎろりと睨みつけた。
「……まったく、どこまで不快にさせるのよ」
その眼差しから、それもこれも我が家の汚点であるあなたのせいと心の声まで伝わってきて、ルーリアは表情を強張らせた。
「でも伯父様、ルーリアお姉様だけがカルロス様に近づかなければ良い話でなくて?」
どうしても諦めきれないアメリアがディべルに食い下がるのを遠くに聞きながら、ルーリアは顔を俯かせて物思いに耽っていく。
(他の貴族のご子息たちも参加するというのなら……あの時の彼もいるかもしれない)
頭に思い浮かべたのは十年前、ルーリアが七歳の時に出会い、助けてもらった名前も知らない彼のこと。
「カルロス・ジークローヴか。ジークローヴ公爵家の若き当主で、非常に有能な男だと言われているが、あいつはダメだ。黒精霊の気配に敏感でバスカイル家の汚点に気付かれる可能性がある。だからふたりとも、特にルーリアは絶対に近づくな。それに、アメリアが踊るべきなのは、死神公爵だなんて呼ばれているあいつではなくシャルード王子だ」
普段は何事にも甘い伯父から、きっぱりと駄目と言われてしまったアメリアが、怒りをぶつけるようにルーリアをぎろりと睨みつけた。
「……まったく、どこまで不快にさせるのよ」
その眼差しから、それもこれも我が家の汚点であるあなたのせいと心の声まで伝わってきて、ルーリアは表情を強張らせた。
「でも伯父様、ルーリアお姉様だけがカルロス様に近づかなければ良い話でなくて?」
どうしても諦めきれないアメリアがディべルに食い下がるのを遠くに聞きながら、ルーリアは顔を俯かせて物思いに耽っていく。
(他の貴族のご子息たちも参加するというのなら……あの時の彼もいるかもしれない)
頭に思い浮かべたのは十年前、ルーリアが七歳の時に出会い、助けてもらった名前も知らない彼のこと。