凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
わずかに微笑みを浮かべたルーリアからカルロスは目を離せずにいたが、一旦その場を離れていた男性店主が箱を持って戻ってくると、ぎこちなく視線を外す。
「カルロス様、こちらです」
「……ありがとう」
カルロスは男性店主によって開けられた箱の中を確認した後、「ルーリア」と呼びかける。
「順番が逆になってしまって申し訳ない。受け取って欲しい」
言われてルーリアも箱の中身を見て、動きを止める。中には大きさの違うお揃いの指輪がふたつ並んでいたからだ。
「カルロス様、これはもしかして……」
「結婚指輪だ」
「そのような物はもらえません」と言いそうになり、ルーリアは慌てて口を噤んだ。形だけの夫婦関係であったとしても、第三者の目があるところでそれは言うべきではない。
男性店主を気にしながら、ルーリアはカルロスに心を込めてお礼を口にする。
「……じゅ、順番など気にしません。そのお心遣いが嬉しいです。ありがとうございます」
「他にも何か欲しい物があったら言え。一緒に買っていく」
「いっ、いえ! 今は特にございませんので」
魔法石をぎゅっと握りしめながら後退りしていくルーリアをカルロスはじっと見つめ、やがて、わずかに笑みを浮かべた。