凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「贈り物をしたいのは俺なのだから、俺が決めればいい……悪いが魔法石を少し貸してくれ」
魔法石を手放すことに、ほんの一瞬狼狽えるものの、ルーリアは「はい」と返事をし、差し出されたカルロスの手に魔法石を乗せた。
するとカルロスは店主の元へと歩み寄り、何やら話し始めた。店主は持っていた指輪の箱を台の上に置いてカルロスから魔法石を受け取り、それをじっと観察したのち、「大丈夫です。少々お待ちください」とにこりと微笑んで店の奥へ引っ込んでしまった。
程なくして奥からガンガンと大きく叩きつけるような音が聞こえてきて、ルーリアは何が起きているのかと不安を覚え、少しだけ時間を置いて戻ってきた男性店主からカルロスへ、そしてようやくルーリアの元へと魔法石は戻ってくる。
「小さくなってます」
右の手のひらの上にちょこんと乗っている魔法石は先ほどの半分の大きさとなってしまっていた。ルーリアがカルロスへ戸惑いの眼差しを向けると、カルロスはそっとルーリアの左手を掴み取った。
「それはすまない。これで許してほしい」
言いながらカルロスはルーリアの薬指に指輪を通すと、慌てふためき出したルーリアに苦笑いして外へと出ていく。
エリンは店主からカルロスの指輪の入った箱を受け取り、何やら言葉を交わした後、戸口へ向かって歩き出す。途中で「さあ奥様、次のお店に行きますよ」と声をかけられ、ルーリアもふたりを追いかけるようにして店を後にした。
次に立ち寄ったのは仕立て屋だった。そこではエリンの見立てで五着のドレスとそれぞれに見合った靴やバッグに帽子などを購入する。