凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
悔しそうなカルロスの横顔をルーリアはじっと見つめ、心がじわりと温かくなるのを感じながらぽつりと伝える。
「私はカルロス様と再会できて、今が一番幸せです」
驚いた様子のカルロスと視線が繋がり、ルーリアは口元に柔らかな微笑みを浮かべた。そのまま何も言わずに見つめ合っていると、いつの間にか戻ってきていたらしいエリンに「どうしましたか?」と声をかけられ、どちらからともなく視線を逸らした。
先ほど指輪が入っていたものと同じ色の長方形の箱を、エリンはカルロスへと差し出した。
「ネックレス、もう仕上がっておりましたので、店主から預かってまいりました」
「さすが仕事が早いな」
言いながらカルロスは箱を開け、何気なく覗き込んだルーリアが「わあ」と感嘆の声をあげた。
中にはネックレスが入っていて、飾りの枠にはあの輝く魔法石が嵌め込まれていた。
「じっとしてろ」
カルロスはそれだけ告げると自らチェーンの留め具を外す。そのままルーリアの首の後ろへとチェーンを持った手を回すようにして、そっと互いの距離を縮めた。
カルロスがネックレスを付けてくれていると頭では理解できているのだが、彼の美しい顔がすぐ目の前にあるため、緊張と気恥ずかしさでついつい呼吸を忘れてしまう。
「うまく留まらない」
囁きかけられた声も当然近く、息遣いすら感じ取ることができ、ルーリアの鼓動が一気に高鳴っていく。
不意にカルロスと目が合う。まるで口付けでもするかのような距離感を互いに認識し、ぎこちない空気が流れた後、カルロスがゆっくりと手を引き戻した。