凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(ご挨拶をした方が良いわよね)
緊張気味にルーリアが口を開きかけた時、カレンが問いかけてきた。
「あなたもお手伝いに呼ばれたの? でもなんで白衣を着ているの? ここで何しているの?」
次々と疑問を投げかけられ、ルーリアは口籠った。しかし、大きめの白衣や手にしている水差しをカレンに不審がるように見られたことで、思わず潔白を訴える。
「私は、魔法薬の生成の準備をしていたところで」
「ああ調合師だったのね。お兄様、魔法薬にはうるさいから大変でしょう」
勘違いされてしまいルーリアは再び口籠る。そんなルーリアの様子に気付かぬまま、カレンは質問を続けた。
「お兄様は騎士団へ? それとも結婚相手と一緒に外出中?」
結婚相手は目の前にいる自分なのだが、そんなこと想像すらしていない様子の妹のカレンに打ち明けたらどう思われるかが不安になり、ルーリアはぎこちなく笑みを浮かべた。
「あなた、兄の相手のルーリア・バスカイルを見た? 妹の私はまだなのよ。信じられないわよね。突然お兄様ったら、結婚したとだけ手紙を寄越してきて、しかも式もあげないとか、そのうち紹介するだなんて書いてあるし、驚いて飛んできたの」
ルーリアにとってもすべて突然のことだったため、それも仕方なかったことだとカルロスを庇いたいが、ルーリアは何も言い出せないまま黙り込む。
「相手はバスカイル家の虹の乙女として期待されている妹の方かと思いきや、姉の方らしいし。どんな方かを聞き回ってもみんな良く知らないの。体が弱くて、引きこもってたらしいわ。きっと根暗な女ね」
体は弱くないけれど、引きこもっていたのは事実で、周りの女性と比べてうまくお喋りできない自覚もあり、根暗というのも合っている。
ルーリアが徐々に視線を落としていくと、カレンは苛立った様子で短く溜め息をつく。