凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「お兄様、きっと嫌々結婚したのでしょうね。だから扱いがこれほどまでに雑なんだわ」
それも間違っていない。そう分かるのに、カレンの言葉はルーリアの心に容赦なく突き刺さる。
「私の自慢のお兄様だし、もっと素敵な女性と結婚してほしかったわ。王女から気に入られていたし、国王様から結婚の話もちらつかされたそうじゃない。そっちとくっついて欲しかったわ。そうすれば、間違いなく騎士団長にもなれたし、王子様のお付きの護衛にだって抜擢されたのに」
「……カルロス様は王女様と結婚のお話があったのですか?」
「ええそうよ。それを蹴って、バスカイルの妹じゃない方と結婚だなんて、何か弱みを握られたとしか考えられないわ。ルーリア・バスカイルがお兄様の花嫁として相応しくないようなら、私が追い出してやるわ!」
「カレン様!」
それが妹である自分の使命だとばかりに、カレンが高らかに宣言した瞬間、エリンの強張った声が響いた。
「あらエリン。ちょうど良かった、喉が渇いたから冷たいお茶をいただける?」
エリンは求めに動かず、責める様な表情まで浮かべてきたため、カレンは狼狽える。
「何?」
「カルロス坊ちゃんの花嫁様が、こちらにいらっしゃるお方です」