凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(黒精霊や闇の魔術師たちに捕まりたくない……そうよね。黒精霊から祝福を受けた私なんかが、浮かれる資格はないわ)
黒精霊や闇の魔術師に捕まれば、心の闇を刺激されて意識を乗っ取られ手下にされてしまう。暴力を振るったり、闇の魔力を使って人の命を殺める手伝いをさせられたりなど、闇に引き込まれた人々は穢れ者と呼ばれている。
まるで生き地獄のような酷い扱いを受けると、伯父夫婦に子供の頃から言われているため、ルーリアは顔を青ざめさせわずかに体を震わせた。
黒精霊の姿が目についてしまったのは、ほんの一瞬でも心を浮つかせたことに対する自分への戒めだったような気持ちになり、ルーリアの目にわずかに涙が浮かぶ。
(私は余計なことなどしちゃいけない。王妃様への挨拶をすぐに済ませて、たった一つの居場所に戻ろう)
カルロスの件でなかなか首を縦に振らないディべルにアメリアが痺れを切らし、アズターにもお願いし始めたところで、馬車は幅広の跳ね橋をゆっくりと進み、城の敷地内へと入っていく。
(これがアーシアン城。なんて美しいの)
真っ白な城壁にたくさんの窓が並び、四方に高く聳える塔は鋭く天へと伸びている。