凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
まるで物語に出てくるかのような城の壮麗さを目の前にしてしまえば、自分を律したばかりのルーリアも心が逸るのを止められない。
停まった馬車からまずはディべルとアメリアが、続いてアズターも重い腰をあげるようにして降りた。ルーリアも羽織っていたストールを座席に畳み置いてから、そわそわしながら地面へと降り立ち、改めて優美なアーシアン城を見上げて圧倒されるように息を吐く。
「行くぞ」
ディべルのひと言で、四人は馬車を降りた順に連なるようにして歩き出した。
これまでの道中もそうだったが、門の内側にも多くの馬車が止まっていて、招待された貴族たちが談笑する姿が至る所にある。
ついルーリアは記憶の中の彼を追い求めて周囲を見回してしまうが、人が多すぎるのと、前の三人の足の早さに追いかけるのがやっとで、迷子になっては大変だと彼を探すのを早々に断念した。
城内に入ると、ディベルとアズター、そしてアメリアに気づいた貴族たちが次々と声をかけてくる。
挨拶もそこそこにすぐに彼らは自分の息子をアメリアに紹介しようとするため、「虹の乙女」としての注目を集めている娘を嫁にもらえるかもと期待しているのが丸わかりだ。