凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
カルロスと視線を通わせるとルーリアの胸は切なさで苦しくなり、無意識に言葉が口をついてでた。
「カルロス様、申し訳ありません」
「何に謝ってる」
「……王女様と結婚の話が進んでいたと聞きました」
ルーリアから飛び出した言葉に、カルロスは不快そうに「は?」と低く呟く。
「王女様と結婚すれば、すぐにでも人生が華々しいものに変わったのに、それなのに私と縁を結ぶことになってしまって……せめて虹の乙女となった妹の方ならカルロス様の追い風にもなれたのに、相手が災いの種でしかない私で申し訳ありません」
そこで一呼吸挟んだ後、ルーリアはネックレスの魔法石をきゅっと握りしめ、苦しそうに続けた。
「この関係はいつ終わりを迎えてもおかしくありません。将来有望であるカルロス様の経歴に傷をつけるだけなのだから、婚姻を結ばなくても良かった……」
「前にも言った通り、俺にも利がある。気にするな」
カルロスはルーリアの言葉を最後まで聞きたくなくて、遮るように言い放った。そして、淡々と自分の思いを語り出す。
「俺は、両親や屋敷の者たちの命を奪ったあの闇の魔術師たちが憎い。多くを失ったあの日、俺は復讐に生きると誓った。その一味はもちろん、闇の力を使う者たちの息の根をすべて止めてやる」
カルロスが闇の魔力を持つものたちを憎んでいるのは知っていたが、その様な理由からだったのを初めて知り、ルーリアは重苦しさと共に繰り返す。
「闇の力を持つ者たち。いったい誰が」
「灰色の外套を纏い、目元は仮面で隠していた。どこのどいつかまでは辿り着けていないが、俺とそれほど背格好が変わらない者がふたりいた。おそらく兄弟で、同年代だ」