凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
カルロスも心の痛みを吐き出すように、小さなため息を挟んだ。
「そんな生き方を選んだ俺と俺の近しい人々を、奴らはまた狙うだろう。だからもう大切な人を増やしたくなくて、誰かと家庭を築こうとは考えなかった。俺の家族はレイモンドとエリンとセレット、今は側を離れてしまったがカレンだけでいい」
そこで再び互いの視線が繋がる。見つめ合えば、自然とルーリアの目に涙が浮かび始める。
「そう思って縁談を断っていたのに、ルーリアのことは躊躇いなく受け入れてしまった。俺にとってルーリアが災いの種だと言うなら、俺だって同じ……いやそれ以上に厄介だろう。ルーリアは闇の魔術師に狙われている俺のそばにいないといけないのだから」
カルロスは手を伸ばし、ルーリアの肩にそっと触れる。彼の手の温かさに切なさを募らせながら、ルーリアはカルロスをまっすぐに見つめ返す。
「約束通り、黒精霊を打ち破れたらルーリアを自由にするし、もし闇の力に飲み込まれてしまえば命をもらう。罪のないルーリアを殺めるのだから、嫁殺しという汚名をしっかり背負うつもりだ」
思わず口元を両手で押さえて、ルーリアは泣き出しそうになるのを必死に堪えた。
(そこまでカルロス様に責任を押し付けてしまって、良いのだろうか)
そう考えれば心が否定し、苦しそうに唇を噛む。
(闇の魔力を抑え込めなくなってきた時は、静かにカルロス様の元を離れるべき……そう思うのに、自分が自分でなくなるその瞬間まで、あなたの隣にいたいと願ってしまう)
震える手を伸ばしてカルロスの腕に触れれば、もう我慢できなくなり、ルーリアはぽろぽろと涙をこぼした。
(私はカルロス様が好き。もうどうしようもないくらい、好きです)
カルロスは戸惑いながらも、ルーリアの頭を優しく撫でた。