凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
 もちろんディベルはそんな彼らを「我々、王妃様へのご挨拶が済んでおりませんので、また後ほど」と冷たくあしらい、すぐに先へと歩き出した。
 傲慢にも思えるディベルに対し、貴族の男たちは揃って苦虫を潰したような顔をし、息子たちはアメリアへと名残惜しそうな視線を送る。
 そんな彼らの視線が自分に向き、話しかけられるよりも先にルーリアは慌てて顔を俯かせ、父親の背中を追いかけ城の中へと入っていった。

 大階段を登り、柱が多くあるだだっ広い廊下を突き進み、会場となっている大広間へと足を踏み入れた瞬間、ルーリアは思わず息をのむ。
 大広間は伯父の屋敷の居間より何十倍も広く、奥へ奥へと続いている。天井からはいくつものシャンデリアが下がっていて、煌びやかな光の下で、多くの貴族たちがグラス片手に立ち話をしていた。人々の隙間の向こう側に食事が並んだテーブルがいくつも置かれてあり、みずみずしい果物が人の背よりも高く積み重ねられているのも見えた。
 そして、大広間の端には階段があり、その先の壇上に薄紫色のドレスを身に纏った奇麗な女性が座っている。
 女性の元には挨拶の順番を待つ列ができていることから、品の良さが漂う彼女こそが王妃で間違いないと判断がつき、自ずとルーリアの心に緊張が湧き上がる。


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