凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「カルロス様のお嫁さんが作った薬は本当に素晴らしいんだよ。俺は腰痛持ちで、少し前に虹の乙女と言われる娘さんの治癒を受けたが一向に改善されなかった。でもこの前いただいた魔法薬を使わせてもらったら効果てきめんで、仕事も捗るよ」
長身の男性からアメリアの話が出て、ルーリアは恐縮するように言葉を挟む。
「それはきっとたまたまです。私の力なんてアメリアの……虹の乙女の足元にも及びませんから」
「いやいや。そんなことはない。むしろあの娘よりも、カルロス様のお嫁さんの方が虹の乙女のようだよ」
これまでずっと、アメリアを尊い存在として敬ってきたルーリアには、それは思うことすら許されなかった言葉であり、表情を強張らせて懸命にふるふると首を横に振る。
「さあ皆さん、今日はもうこの辺でお開きとしましょうか。私たちはこれから用事がありますので、準備しなければいけませんし」
ルーリアの妹が虹の乙女であるのをエリンは思い出し、慌てて話に割って入ったところで、屋敷の門が開き、ちょうど荷馬車に乗ったレイモンドが入ってきた。
「ちょうど良かった、積み込むのを手伝っていただけませんか?」
御者台から降りてきたレイモンドは、男性ふたりにニコリと笑いかけてお願いする。すると、男性ふたりは快く了承し、レイモンドと共に屋敷の中へと入っていった。