凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

「私も一緒に運んだほうが」
「いいえ。大丈夫ですよ。魔法薬はたくさんありますし、まとめて運ぶのは重いですし、ここは男三人に任せちゃいましょう」

 後を追って屋敷に向かおうとしたルーリアは、あっさりとエリンに引き止められる。お婆さんを見送ると、そのまま馬車のそばで待つことにした。

「今から騎士団の詰め所に行くと思うと、少し緊張しますね」

 心なしか速い鼓動を感じながら、ルーリアは隣に立つエリンへと話しかける。
 実は今朝、カルロスが出勤した後、屋敷にエリオットが訪ねてきたのだ。
 気安い態度で「あなたにお会いしたかったです」と握手を求められ、ルーリアは戸惑い、固まってしまう。黒い騎士団の制服を着ていることから騎士団員なのは分かっていたが、その場にやって来たレイモンドが「騎士団長!」と驚いたことで、カルロスの上司であると分かり、ルーリアは少しずつ表情を和らげていった。

 それから「生成した魔法薬があれば見せていただきたい」とお願いされ、断る理由のないルーリアは、すぐに書庫へと案内し、作り置きしていた魔法薬をすべて見せた。エリオットは回復薬を手に取るとすぐに感激した様子となり、騎士団にすべて売ってくれないかと申し出たのだ。
 人々のために働いている騎士団の力になれるなら、そして、自分の魔法薬が少しでもカルロスの役に立てばと考え、ルーリアは「これらで良ければ」と返事をした。
 レイモンドも含めて話をし、後で騎士団へ持っていくと約束を交わした後、エリオットは「カルロスと一緒に待ってるからね」と笑顔で屋敷を後にしたのだった。

 騎士団の詰め所に行くのは初めてで、騎士団員としてのカルロスを見るのも久しぶりであるため、それからずっとルーリアは楽しみでソワソワし通しだったのだ。

「実は私も初めて中に入りますよ。楽しみですね」
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