凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
エリンがにこやかに答えた時、屋敷の中から大きな箱を抱え持ったレイモンドたちが出てきた。荷台に積み込み終えると、男性ふたりは「また手伝えることがあったら、遠慮なく言ってください」とルーリアに笑いかけ、そのまま屋敷を出ていった。
そしてレイモンドは御者台へ、ルーリアとエリンは荷台に移動し、騎士団の詰め所へと出発する。
カルロスの力が込められた魔法石のペンダントを得てから、ルーリアの闇の魔力はしっかりと抑えられている。そのため「短時間で済むなら買い物に出ても構わない……でもまあ、俺かレイモンドが付き添える時が望ましいが」と、カルロスからの許可は一応出ている。
とはいえ、ルーリアが不安を感じない訳もなく、ペンダントの魔法石をそっと両手で包み込んだ。
あっという間に荷馬車は騎士団の詰め所に到着し、レイモンドが門番をしている団員と少し言葉を交わしただけで、敷地の中へと入ることが出来た。
門の側で荷馬車を止めて待っていると、すぐにエリオットが数人の騎士団員を引き連れてやって来た。
「ご足労お掛けしました。せっかくだし、みんなにルーリアさんを紹介したいし、このままカルロス第五部隊長の所へ行きましょう」
エリオットは「そっちは頼んだよ」とレイモンドに声を掛けると、レイモンドは頷き、エリオットが連れてきた団員たちに「一緒に医務室まで運んでくれますか」とお願いした。
ルーリアはエリンと共にエリオットに続いて歩き出した。すれ違う団員たちがルーリアへ不思議そうな眼差しを向けるたび、エリオットが「彼女、カルロスの嫁さん」と紹介する。その度、団員たちが姿勢を正して「カルロス隊長にはお世話になっております!」と頭を下げるため、ルーリアは恐縮しきりで、同時にカルロスの存在の大きさを改めて感じたのだった。