凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
彼は第五部隊の一員らしく、ここまで会ったどの団員たちよりも感激した様子でルーリアへ挨拶する。緊張で早まった鼓動と気恥ずかしさから熱くなった頬、そして、妹ではなくなぜ姉の方を選んだんだと思われているかもしれないという不安で、ルーリアが固まってしまうと、緊張をほぐすかの様にエリオットがルーリアの背中に軽く触れる。
「とても優秀なお方だ。これから我々騎士団は彼女に力を貸してもらうことになるだろう」
エリオットに褒められて、ルーリアが驚いた様子で彼を見上げる。
今朝方のエリオットとの会話の中で、実は「今日だけでなく、これから継続して、騎士団のために魔法薬を作っていただけないか」と頼まれたのだ。今回は自分の判断で魔法薬を渡すことにしたが、ずっととなると話は別だとルーリアは思い、「カルロス様と相談してから決めてもよろしいですか」と保留にしたのだ。
そのため返事はまだだが、期待されているのはひしひしと伝わってきて、ルーリアが戸惑いの眼差しをエリオットに返す。そのままゆっくりと視線を俯かせた時、背中に感じていたエリオットの手が離れ、後ろから低い声が響いた。
「……いったいこれはどういうことですか?」
「戻ってきたのか。早いな」
「カルロス様!」
振り返り見つけた姿につい声が弾んでしまい、ルーリアはさらに頬を赤らめた。カルロスは不機嫌にエリオットを見つめていたが、ルーリアの様子に気持ちを削がれ、掴んでいたエリオットの手を離した。
「私が作ったもので良ければ使ってもらいたくて、魔法薬を持ってきました」
「レイモンドが運んできた魔法薬を見て、ルーリアが作った物だとすぐにわかった。それで、騎士団長が俺の所へ連れて行ったと聞いて、慌てて戻ってきたんだ。俺の知らないところで、勝手なことをしないでください」