凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(気を引き締めないと。王妃様の前で絶対に失敗できないもの……もし失敗したら……)
黒精霊から祝福を受けてしまったせいか、子供の頃からずっとルーリアの魔力は不安定のままだ。そのため、絶望や憤怒といった激情を心に宿した時はもちろんのこと、意図せず光の魔力が高まって暴走してしまうこともあり、これまで繰り返し伯父の結界を打ち破ってしまっていた。
光の魔力の増幅に反発するように、祝福によって刻み込まれた闇の魔力も一気に大きくなり、ルーリアを取り込もうとしたり、黒精霊たちを呼び寄せたりしてしまっていた。
屋敷の裏庭でならまだしも、このように人目のある場所で力を暴走させ、黒精霊まで姿を現してしまったらルーリアが黒精霊から祝福を受けていることが知られてしまう。今まで必死に隠していたことが公のものになれば、バスカイルの名に泥を塗ることになり、伯父夫婦からひどく怒られることになるだろう。
何より、王妃の祝いの席を台無しにしてしまったことで国から何らかの責任を問われ罪に処されることだってあるかもしれない。ルーリアは不安と恐れを心に抱きながら前を行くディベルとアメリアの後ろ姿をじっと見つめた。