凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「バスカイル家の娘なら、しっかり高額を要求してくると思っていたから驚いている。あれだけの才能を持っているのに謙虚すぎだろ。お前の嫁に勿体無いな」
「なら金額は、夫である俺がルーリアに代わって交渉させていただきます」
「……とんでもない金額をふっかけられそうで怖い」
じろりと睨みつけつつ当然のように言い放ったカルロスへと、エリオットがわざとらしく体を震わせたため、ケントとエリンが笑った。
今もまだ戸惑った様子のルーリアへと、カルロスは体を向ける。
「ルーリア、用が済んだなら家まで送ろう」
「あのでも、カルロス様はお仕事中でしょうし、私にはお守りもありますので大丈夫です」
「いいや、心配だから送る」
有無を言わさないようにカルロスがルーリアの手を掴んだ。そして「エリンも行くぞ」と声を掛け、ゆっくりと歩き出す。
「ありがとうございます」
繋がれた温かな手と、大きな背中を見つめて、ルーリアはぽつりと話しかける。彼は真っ直ぐ前を見たまま黙っているが、繋いだ手に力が込められたように感じ、わずかに口元を綻ばせた。
歩き出した三人の横に、「俺も戻るか」とエリオットが並ぶと、後ろからケントが大きな声で「いつでもまた来てくださいね!」と声をあげ、ルーリアは振り返っては頭を下げた。