凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
人々の間を縫うように進んでいた時、大広間の脇に控えていた楽師たちが演奏を奏で始め、それに合わせて談笑していた人々が一気に動き出した。
身近にいる男女でペアを組み、軽やかにダンスが始まると、グラスを持っていた人々が場を空けるように脇へと移動する。
その流れをうまくかわせなかったルーリアは、よそ見をしている貴族男性から勢いよくぶつかられた。
「きゃっ!」
小さく発した悲鳴と共に、弾き飛ばされる形で床に倒れ込みそうになったが、すんでのところでルーリアの腰に手が回され、逞しい腕によって力強く引き寄せられる。
「すっ、すみません。ありが……」
ルーリアは自分を助けてくれた相手へとすぐさま視線を上げて謝罪するが、それに続くはずだった感謝の言葉は最後まで紡げなかった。
助けてくれた相手は黒い騎士服を身に纏った男性だった。艶やかな黒髪に強い輝きを宿した碧い瞳、すっと通った鼻筋に形の良い唇など、整った顔立ちは目を奪われるのを抗えないほど美しい。
しかし、ルーリアの鼓動を高鳴らせたのは、彼の見目麗しさだけが理由ではなかった。
(に、似てる。あの時の彼に)
十年前、その身を呈して黒精霊から救ってくれたあの幼い彼の面影が、目の前の男性にしっかりと重なったのだ。
身近にいる男女でペアを組み、軽やかにダンスが始まると、グラスを持っていた人々が場を空けるように脇へと移動する。
その流れをうまくかわせなかったルーリアは、よそ見をしている貴族男性から勢いよくぶつかられた。
「きゃっ!」
小さく発した悲鳴と共に、弾き飛ばされる形で床に倒れ込みそうになったが、すんでのところでルーリアの腰に手が回され、逞しい腕によって力強く引き寄せられる。
「すっ、すみません。ありが……」
ルーリアは自分を助けてくれた相手へとすぐさま視線を上げて謝罪するが、それに続くはずだった感謝の言葉は最後まで紡げなかった。
助けてくれた相手は黒い騎士服を身に纏った男性だった。艶やかな黒髪に強い輝きを宿した碧い瞳、すっと通った鼻筋に形の良い唇など、整った顔立ちは目を奪われるのを抗えないほど美しい。
しかし、ルーリアの鼓動を高鳴らせたのは、彼の見目麗しさだけが理由ではなかった。
(に、似てる。あの時の彼に)
十年前、その身を呈して黒精霊から救ってくれたあの幼い彼の面影が、目の前の男性にしっかりと重なったのだ。