凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「お疲れ、ルーリア」
「カルロス様、おかえりなさいませ! たった今、依頼されていぶんを作り終えました。レイモンドさんの予定が大丈夫なら、早速、明日渡しに行ってこようと思います」
「早いな。無理は……していないみたいだな。それなら、無茶はするなよ」
カルロスは調合台のそばに箱がいくつも並べ置かれているのをちらりと見たあと、顔色も良く、何なら少し楽しそうにも見えるルーリアへと視線を戻し、苦笑いを浮かべる。
「それとこれ。前回の報酬だ。団長から預かってきた」
言いながら、調合台の上に布袋がどすんと置かれ、ルーリアは目を丸くする。袋自体はそれほど大きい物では無いが、中身がぎっちり詰まっているのが見てわかるくらい、ぱんぱんに膨らんでいる。
「……そ、それは、カルロス様が管理してくださいませ。お願いします」
ルーリアは金貨袋にはまったく手を出そうとせず、どうして良いのかわからない様子でカルロスを見つめる。
「とりあえず今は預かっておこう。必要な時は言うように……あとそれから……」
そこでおもむろにカルロスが腕を組み、珍しく言いにくそうな様子でルーリアを見つめ返した。
「ルーリアに頼みたいことがあるのだが」
「私に頼みたいこと……はい、何でしょう!」
金貨袋を目にした時よりも表情を明るくさせて、声まで弾んでいるルーリアに、カルロスは少しだけ苦笑いする。