凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「半月後に、王妃様がガーデンパーティーを催される予定だ。国内のいくつかの貴族を招いてもてなすといった感じで、定期的に開かれているのだけど、それに公爵家当主として俺も呼ばれた。夫婦として共に参加してほしいのだが」
まさか夫婦としてのお願いだとは思っておらず、ルーリアは思わず目を大きくさせる。
「これまでも何度か招待されていたんだ。でもその度に、騎士団の一員として参加させていただきたいと返事をし続けて、実際そうしてきた。だから今回もそうするつもりだったが、ぜひ夫婦でと王妃から直々に言われてしまって」
カルロスが難儀だといった様子で前髪をかきあげるのを見つめながら、王妃からお茶会に呼ぶと言われていたのをルーリアは思い出す。きっと王妃の耳にもカルロスとルーリアの結婚の話が届いていて、夫婦での参加を譲らなかったのかもしれないと予想できた。
カルロスの立場を思えば、断るという選択肢はなく、ルーリアは緊張気味に返事をした。
「……貴族としてのマナーがよくわからず、迷惑をかけてしまうかもしれませんが、私で良ければご一緒させてください」
「ありがとう。恩に切る」
「いいえ。いつもカルロス様にはお世話になっておりますから、私の方こそ、少しでも恩返しができたら嬉しいので」
「急ですまないが、よろしく頼む」
カルロスは小さく息を吐いてから、「金庫にしまっておく」と言いながら金貨袋を掴み取り、踵を返し歩き出す。
立ち去ろうとするカルロスの背中を見ているうちにルーリアは急に不安を覚え、慌てて話しかけた。
「あのっ、最低限覚えておかないといけないこととかありますか? ……カルロス様の妻として」